導入事例

JFT/SaaS 製造業

日本農産工業株式会社 様

オンプレミスで運用していたEDIシステムをクラウド化。
回線を含むトータルのコストダウンと運用負荷軽減を実現

まもなく創業100年を迎える日本農産工業株式会社。畜産飼料事業、水産飼料事業、食品事業、ライフテック事業の各分野でさまざまな研究を行い、常に最新の技術を取り入れながら、「食」に関する新しいビジネス分野を開拓し続けている。同社の活躍する事業領域は一次産業を支える領域から食品業界にまで及び、当然ながらその取引先は多岐にわたる。各取引先とのデータ交換を行う際、重要な役目を担っているのがEDIだ。ISDN網廃止に向けた対策を講じる必要性に加え、オンプレミスのEDIシステムのリプレース時期が迫っており、既存システムの移行が喫緊の課題であった同社は、既存環境からスムーズに移行できるEDIサービスを探していた。「既存システムの使用感を保ちつつ初期投資・運用コストを最小限にしたい」。その要望に応えたのがTOKAIコミュニケーションズのクラウド型EDIサービス『JFT/SaaS』だ。移行を無事に終えた現在、同社はEDIの運用に煩わされることなく、日々の業務に邁進している。

会社名 日本農産工業株式会社
設立 1931年8月6日
所在地 神奈川県横浜市
事業内容 畜産飼料事業(鶏、豚および牛用飼料の製造・販売)、水産飼料事業(魚用飼料の製造・販売)、食品事業(ヨード卵、鶏卵の生産・販売、ヨード卵関連商品の販売)、ライフテック事業(ペットフード、馬用飼料の製造・販売)
ご紹介文
1976年の発売以来、ブランド卵の先駆けとして多くのお客様に愛され続けている『ヨード卵・光』。長年にわたる研究成果を活かした『ヨード卵・光』は、徹底した品質管理を経てお客様のもとに届き、そのおいしさと安全性が高い評価を受けている。創業以来、日本の畜産・水産業界に大きく貢献してきた日本農産工業株式会社。安心・安全を最優先にお客様のニーズにきめ細かく応える製品を通じ、リーディングカンパニーとしての信頼を確立している。同社の企業理念「食といのちの未来をひらく」は、企業内のすみずみまで根付いており、同社の掲げる社会的使命「いのちの営みを通じて、人々の健康と幸せに貢献します。」を推進力に、幅広い事業分野で得た知識と経験を活用し、グローバルな視野で事業拡大を目指す。

導入効果

  1. 初期投資・月額費用を最小限に抑え、既存回線のコストダウンも実現
  2. 堅牢なデータセンターにサービス基盤が存在する安心感
  3. シンプルで見やすい画面、既存システムとの連携により運用負荷が軽減

ISDN回線廃止対応とシステム更改を機に
EDIシステムのクラウド化を検討

日本農産工業株式会社がEDIシステムの移行を検討し始めたのは2016年1月。オンプレミスで運用しているEDIパッケージソフトウェアの保守期限が同年12月に迫っているとともに、ハードウェアのリプレースの時期も迎えていた。これに加えて、2016年時点において、ISDN回線は2020年に廃止されることが予定されていたことから、ISDN回線を利用していた同社のシステムはリプレースの検討を余儀なくされた。

「オンプレミスの場合、EDIシステム以外にもハードウェア機器やネットワークも合わせて保守・運用を行わなければなりません。ハードウェア機器の故障などの不安が常にありました。また、万一のトラブル発生時に備え、トラブルシューティングにかかる時間と手間を少しでも削減したいという思いがありました」と日本農産工業の情報システム担当者は当時をこう振り返った。同社情報システム部門の限られたメンバーで、1,000人規模の従業員が利用するシステムを運用しなければならない。システム運用負荷の軽減は、情報システム部門が常に抱える課題だ。

「システム更改にあたり、モデムなどの機器への投資が新たに必要となる従来の方法は選択肢にありませんでした。また、レガシーのEDIを今後も社内で抱えることについて不安もあったことから、クラウドサービスへの移行が合理的と判断しました」(担当者)

同社は、EDIシステムを複数保有しており、システムの保守期限到来をきっかけに、EDIシステムの一部を統合することも検討していたという。このような経緯のもと、同社はオンプレミス環境の更改ではなく、クラウド型EDIサービスへの移行を決定。EDIサービスの提供事業者4社に提案を依頼することにした。

コストと信頼性、技術に精通した営業担当者が採用の決め手

各社の提案を受け、サービス選定を進めていた同社。採用したのはTOKAIコミュニケーションズが提供する『JFT/SaaS』だった。

「今回採用にいたらなかったサービスは、当社にとって機能的にオーバースペックであり、多機能であるが故に高価格という印象でした。JFT/SaaSはシンプルな作りでありながら当社の要件を満たし、コストも申し分ありませんでした」(担当者)。同社の要件の一つは接続APIが利用できること。同機能は、サービスによっては有料オプションの追加契約や専用線の敷設が必要になる場合がある。JFT/SaaSは、接続APIが標準提供され、また、接続回線も既存のインターネット回線での利用が可能だった。こうした理由から、JFT/SaaSのコスト面が評価された。しかし、他社サービスと比較してあまりにも安価であったことから、サービスの品質を心配する声もあったという。

「安かろう悪かろうでは困る、という懸念がありました。サービスの比較検討を進める中で、TOKAIコミュニケーションズのデータセンターを見学する機会があり、免震ピット等の設備を実際に確認することで、サービスが稼働しているデータセンターの安全性を実感することができました。加えて、JFT/SaaSのサービス基盤にはTOKAIコミュニケーションズが自社で保有しているデータセンター・通信回線・プラットフォーム・EDIパッケージを利用しているからこそ、こうした安価なサービス提供が可能だという説明を受け、サービス品質についての不安は払拭されました」(担当者)。TOKAIコミュニケーションズは、TOKAIグループ内でLPガスなどの集中管理システムの運用を担ってきた歴史がある。データセンターの堅牢性確保に対する意識の高さが、エネルギー供給に携わっている事業者ならではのものだと感じたと担当者は振り返った。

また、TOKAIコミュニケーションズ営業担当者の技術的な知見が信頼に足るものだったため、それがJFT/SaaS採用の後押しとなったと担当者は語る。「営業担当の方がEDIの技術に精通していたため、どんな質問をしても即座に納得のいく回答がもらえました。そのような方がいてくれるなら、当社のEDIシステムをTOKAIコミュニケーションズに安心して任せられると考えました」(担当者)

既存システムの保守期限まで数ヶ月を残し、サービス選定を終えた同社は、移行作業に着手した。

スムーズに移行が完了、使用感も問題なし

システムの移行にはトラブルが付きものだ。どんなに綿密に計画を練っても、想定外のアクシデントにより移行作業が滞ることは珍しくない。しかし、同社のEDIシステム移行は驚くほどスムーズに完了したという。「何らかのトラブルが発生して想定通りに進まない可能性もあるため、覚悟して移行作業に臨みました。ところが、通信テストまで何も問題なく進行し移行できたため、拍子抜けしてしまうほどでした」(担当者)

既存の社内システムとの連携部分についても、一部のAPI改修を実施したのみで、特に苦労したことはなかったという。以前のオンプレミス環境では、データ送信が成功している状態でエラー通知メールが届いてしまうなど、運用上対応に苦慮する事象が起きていた。JFT/SaaSは、不要な通知がなく、エラーが起きたとしてもサポート担当者からの電話連絡にて説明を受けることができるため、エラーに惑わされることがなく快適に運用できていると担当者は語る。また、これまでの仕組みでは、基幹システムとEDIシステムが連動しておらず、双方に起動時間を設定するなどの必要があったが、JFT/SaaSの導入により、一元的な運用が可能になった。こうした定常作業が削減できたこともJFT/SaaSを評価するポイントの一つだという。

「以前のシステムの管理画面は項目が多すぎてわかりにくいと感じていました。JFT/SaaSは必要な機能にしぼったシンプルな画面で、操作性が非常によいと思います。管理画面がWebになったため、社外からもシステムを確認できるのもいいですね」(担当者)

サービス利用会社とJFT/SaaSの間をインターネット等で接続できれば、JFT/SaaSから取引先への通信はサービス側で対応する。そのため、同社が契約していたISDN回線、公衆回線を6回線解約し、運用コストを下げることができたという。「接続回線数に合わせて機器も増えていき、その分の管理コストも負担しなければなりませんでした。今回接続回線を最適化することで、そうした負担も軽減することができました」(担当者)

適切なクラウド利用で社内システムの最適化を目指すために

現在、同社システムの大半はデータセンターでのオンプレミス運用を行っている。以前、試験的に一部システムを外部のクラウドサービス上に移行させた際、サービス独自の操作知識や障害時の対応方法など、オンプレミスとは異なる要素がネックとなり、本格的な移行を見送ったという。

「過去の経験から、オンプレミス運用からクラウドへの移行は慎重になっている面がありましたが、今回のJFT/SaaSへの移行でクラウドの利点を再認識することができました。今後も、システムの特性を見極めてインソース/アウトソースの切り分けをしながら、コストと業務効率の最適化を図っていきます。TOKAIコミュニケーションズからはさまざまな情報も提供してもらっており、特にAWSに関する知見が深いと感じているため、業務内容と当社のニーズに合わせた提案を期待しています」(担当者)

喫緊の課題であったEDIシステムの移行を無事に完了させた同社。今後の展望を実現させるべく、TOKAIコミュニケーションズに対して一層の期待を込めて締めくくった。

  • 本導入事例の内容は2017年11月時点のものであり、変更されている可能性があることをご了承ください。