株式会社オプティマ 様

千葉市のプッシュ通知サービス基盤に「JFT-LGWAN」を採用
専用回線不要のASPでLGWANとAWSを接続し運用コストも削減
1972年創業の株式会社オプティマは、独立系ソフトハウスとして50年以上にわたり堅実に成長。現在では、中堅SIerとして自治体や金融機関などの幅広い顧客に対しコンサルティングからシステム設計、アプリケーション開発、運用・保守までのサービスをトータルに提供している。
同社は2020年12月、千葉市が市民向けにLINE経由で情報提供を行うプッシュ通知サービスを構築した。このサービスを実現するには、千葉市が利用する総合行政ネットワーク(LGWAN)とサービス用のシステムを置いたアマゾン ウェブ サービス(AWS)をセキュアに接続する必要がある。その際に同社が選定したのが、TOKAIコミュニケーションズの提供するLGWAN-ASPサービス「JFT-LGWAN」だ。
会社名 | 株式会社オプティマ |
---|---|
設立 | 1972年8月 |
所在地 | 東京都品川区 |
事業内容 | システムの受託開発、システムインテグレーション・サービス、パッケージ・ソフトウェアの開発と販売 他 |
URL | https://www.opt.co.jp/ |
-
株式会社オプティマ
社長執行役員梶谷 伸二 氏 -
株式会社オプティマ
ビジネスソリューション統括部
産業ビジネス第二システム部 部長代理國松 智 氏
導入効果
- 自治体が利用するLGWANとAWSとを専用回線なしでセキュアに接続
- 接続のための初期コストと運用コストを大幅に削減
- 自社ソリューションとしての拡販も可能に

LGWANとAWSをセキュアに接続したい
50年以上にわたって堅実に成長を続けている独立系ソフトハウスの株式会社オプティマは、次の50年に向けて新たな取り組みにチャレンジしている。現在の活動について、専務執行役員 ビジネスソリューション統括部 統括部長の梶谷伸二氏は次のように説明する。
「100周年に向かっていく中で、現在注力しているのが自社パッケージのさらなる拡販です。これまで当社は受託開発が中心でしたが、自治体や金融機関向けに福祉共済システムや用度品管理システムなどの業務パッケージも提供しています。今後はこのようなソリューションを安く、速く提供していことにも力を入れていきたいと考えています」(梶谷氏)
同社の注力分野の1つとなるシステム開発事例が、千葉市からの委託を受けて構築した市民向けのプッシュ通知サービスだ。同社は2020年、日頃から情報交換を行っていた千葉市から同サービスの構築について相談を受けた。当時の状況について、ビジネスソリューション統括部 産業ビジネスシステム部 部長代理の國松智氏は、次のように説明する。
「当時の市長が大手ITベンダーのご出身ということもあり、千葉市ではデジタル化を推進していくとの姿勢を打ち出していました。その一環として構築を決定したのが、各種手当の受給や健康診断などの対象となる市民の方にLINEを介してピンポイントで情報を提供するサービスです」(國松氏)
千葉市はこの市民向けプッシュ通知サービスの構築について、複数のITベンダーに声をかけ、2020年3月に入札を実施した。そして落札したのがオプティマだ。
「当社からシステム基盤としてAWSを利用するご提案をさせていただき、2020年4月に構築プロジェクトがスタートしました。その際、システム構築とは別にもう1つ考える必要があったのが、千葉市が利用する総合行政ネットワーク(LGWAN)とAWSとをセキュアに接続する方法です」(國松氏)
新たな設備投資は控え運用コストも抑えたい
市民向けプッシュ通知サービスは、市庁舎内からLGWANを介してAWSに接続し、AWS上に構築したシステムからインターネットを経由してLINEで市民に対し情報を提供する。しかしLGWANの接続先には制約があり、LGWANとAWSとをダイレクトに接続することはできない。そこで必要だったのが、LGWANとAWSをセキュアに接続する方法だ。
「求めた要件は、両者を接続するための新たなネットワークや機器を導入する必要がないこと、そして接続のための運用コストを極力抑えることです。それで思い出したのが、本件の1年前にTOKAIコミュニケーションズから紹介を受けていたJFT-LGWANです」(國松氏)
JFT-LGWANは、企業内および企業間のデータ交換システムで要求される高い信頼性と耐障害性を提供するEDIデータ交換システム「JFT」を、LGWANを介して利用できるようにしたASPサービスだ。JFT-LGWANが送受信されるファイルのセキュリティチェックを行うことで、送信先・送信元共にセキュアな環境を保てる。また、専用のソフトウェアや専用回線を必要としないので専用設備の初期コストや維持管理コストを大幅に削減することができる。
「入札に参画するにあたり、TOKAIコミュニケーションズから改めてJFT-LGWANについて詳しくお話を伺い、セキュアな接続に加えて大幅なコスト削減が実現できることも分かりました。入札に向けては他社のネットワークソリューションも調べましたが、JFT-LGWANの10倍以上のコストがかかるものでした。そこで入札時には、JFT-LGWANの利用を前提としたご提案をしました」(國松氏)
オプティマが落札して2020年4月にスタートした構築プロジェクトは同年12月に完了した。そして千葉市が2021年1月28日に提供を開始した市民向けプッシュ通知サービスが、当時の千葉市調べで自治体が管理している住民情報を活用し、対象者に合った情報を個別に通知する仕組みとしては全国初となる『あなたが使える制度お知らせサービス ~For You~』(略称:For You)だ。
千葉市がLINEを活用し、行政サービスの通知をより分かりやすく
千葉市が提供を開始したFor Youは、自治体が管理している住民情報を基に各種手当の受給や予防接種、がん検診のお知らせなどをLINEのメッセージで個別に通知する。(なお、2023年10月から電子メールでの通知にも対応している。)For Youの利用を希望する市民は、初めに登録番号の申請を行い、はがきでの通知を受け利用登録を行うことでサービスを受けることができる。このFor Youは、2022年度夏の「Digi田(デジでん)甲子園」(※)実装部門(指定都市・中核市・施行時特例市)において第6位に選ばれている。
(※)Digi田(デジでん)甲子園:
地方公共団体、民間企業・団体など様々な主体がデジタルの力を活用して地域課題の解決等に取り組む事例を幅広く募集し、特に優れたものを内閣総理大臣賞として表彰する取組
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/koshien/index.html#s1より抜粋
LINEでの通知を希望する方は、千葉市の公式LINEアカウントを友だち追加し、トーク画面のメニューから『For You お知らせサービス』をタップすることで、利用申請の画面に遷移します。サービスを開始して少し経った頃に千葉市にてアンケートを実施したのですが、利用した市民の方からは「制度そのものを知ることができた(調べる手間が省けた)」、「自分がその制度の対象になり得ることを知れた」、「手続きを忘れずに済ませることができた」などの評価をいただいています。JFT-LGWANを選定した大きな効果として、運用自体にも本当に手がかかっていないのもありがたいですね」(國松氏)
千葉市の入札に参画するにあたってJFT-LGWANを採用したオプティマは、TOKAIコミュニケーションズの知見についても高く評価する。
「今回TOKAIコミュニケーションズには、JFT-LGWANの提供から、千葉市側からの情報提供に必要な各種ファイルをオンラインストレージサービスのAmazon S3に保存するところまでをご担当いただきました。ちょうどコロナ禍が始まった頃で、Web会議を中心に何回かお打ち合わせをしましたが、私たちの質問や疑問に対して基本的にその場でエンジニアの方にご回答いただくことができ、疑問が即座に解消してプロジェクトをスムーズに進めることができました」(國松氏)
新たな商談も獲得し成約、さらなる拡販に拍車をかける
同サービスの公開後、オプティマは千葉市の承諾も得て、他の自治体に本事例の概要を記載したダイレクトメールを送付した。2022年には、実際の商談成約につながる効果を獲得している。
「私たちが現在注力する自社パッケージのさらなる拡販という方向性に沿う活動として、今回構築を支援した千葉市の仕組みを汎用化し、LINEソリューションという形で売り出すことを目指しました。すでに1件、ある市町村様に千葉市とほぼ同じ仕様の市民向けプッシュ通知サービスを提供しています。JFT-LGWANはもう私たちのLINEソリューションの一部という位置付けですね。千葉市がDigi田甲子園で第6位を受賞した実績もあると思いますが、この取り組みに興味を持った複数の自治体からすでにお声がけいただいています。これからさらなる拡販に拍車をかけていきたいと思います」(梶谷氏)
「今回の案件では、LINEで送信したメッセージがエラーになって返ってきた場合のエラーメッセージをAWSに蓄積して、それをLGWAN経由で見に行くという運用方法を採っています。私たちはこうした細かい業務フローをご支援するためのノウハウも持っています。ネットワーク回りでは、お客様からセキュアで十分な帯域を安価に確保したいというご要望を多数いただきますので、今後もTOKAIコミュニケーションズの心強い支援を期待しています」(國松氏)
- 本導入事例の内容は制作時(2025年6月)のものであり、変更されている可能性があることをご了承ください。
- その他記載されている会社名、製品名、サービス名、ロゴ等は各社の商標または登録商標です。